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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

お腹に感じる圧迫感。
横に目を向けると、
あの、
不気味な金色の目と
目が合った。


「ダメじゃないか
 花嫁が他の男の手など
 取ってワ」

「離して!!」


私はもがいた。

こんな奴に触られるのは
苦痛でしかない。
いっそのこと、
このまま地上に
叩きつけられた方がマシだ。


「暴れない暴れない
 アバラ折りますよ
 ナンチャッテ
 ゲラゲラゲラ…」


ハクアの私に触れる手に
力が篭る。



「…」


空気が一気に冷えた。

「次朗君…!!」


眼下

次朗君を取り囲むように
黒い霧が広がっていく。


「アクマめ
 正体を見せロ」




「…あ」



次朗君の背中から
飛び出すように現れたのは
艶やかな黒翼。
それはカラスの羽根
そのものだ。
見据える瞳が
暗い紫色に光るのが見える。


「…っ
 きゃぁあああああ!!!!」



それを目前にしたエミの、
叫ぶ声は
恐怖に染まっていた。



  



「面倒だから
 少し眠っていなよ」

次朗君がエミに近付き、
視線を合わせる。

途端にエミは
支えを無くしたように
その場に崩れた。

崩れたエミを
次朗君は教会から
少し離れた木に
寄りかからせると、
そこに羽根を一枚抜いて、
地面に刺した。


「ほぉ
 悪魔の儀式か?
 その娘を餌にでもして
 何か召喚するカ??」

「違うわ
 あぁして
 守ってるのよ」

私はハクアを睨みつけた。

「冷気で
 傷つけないようにね」


「はぁ?!
 ナンセンスだ
 悪魔が人間を守るなどっ!!
 …!」



次朗君がこちらを
物凄い形相で睨む。

こんな顔
殆ど見たことがないよ。



「いつまで
 触ってるんだよ」


次朗君が
消えた。

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