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「再会」と呼べる「出会い」

第13章 ごめんなさいじゃ足りない

「ごめん…なさい」


「泣かない 泣かない
 ほんと、泣き虫だよねぇ」


今度は次朗君が
優しく頭を撫でてくれる。

だけど
自分でも制御なんて出来ない。
ボロボロと涙は頬を伝う。


「ミカちゃん 大丈夫じゃ
 次朗の事は心配いらん」

「そうだぞ
 コイツ やる時はやるから」

金髪のおじさんと隠土先生も
慰めてくれた。


「…ごめんなさい」


なのに
他に言葉は見つからず
私はそれしか言えなかった。





「よし、飯にするか…
 マスター、カウンター借ります」

「お願いね
 冷蔵庫の中の物は
 どれでも使っちゃっていいから」

「佐伯、手伝ってくれないか?
 少しは気分転換になるだろ」

「はい」



隠土先生の提案は
今の私には凄くありがたかった。 





「ミカ」


「何?」


カウンターの向こうに行こうとした私を
次朗君が呼び止めた。


「服、そのままだと汚れるから
 こっち来て」

そう言って、
次朗君は私を店の奥へ案内した。



トイレと反対側
【staffroom】と書かれたドアを開ける。
そこは家の玄関になっていた。
外と繋がっていそうなドアもある。

靴を脱ぎ
直ぐにある階段を上がる。

「お邪魔します」


「一階は店舗だけど
 二階と三階は自宅になってるんだ
 この間まで
 俺はここに住んでたんだよ」






インドにいたんじゃ…


「あ! みんなには内緒ね」

「う うん」


次朗君は悪戯っぽく人差し指を立てた。

なんだかまだまだ秘密がありそう。
だって年を誤魔化してただけじゃなく、
結婚もしてた位だし…

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