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「再会」と呼べる「出会い」

第12章  イカ祭りの誘惑

手を繋いだまま、館内を歩く。
両親も一緒なのに…

次朗君に
その事を気にしている様子はない。


「へぇ 
 お父さん、消防士なんですか。
 格好良いなぁ。」


寧ろ楽しそうに
お父さんと会話しちゃってるし。





けど




…なんだか  幸せ







っ!!

わーーーーーっ!


私ってば、何考えてるのっ?!!



…優司君ごめん…。



なんだかんだで
やっぱり後ろめたいよ。



「こういうの、苦手?」

「えっ


 …ぅわ   凄い!!」



私は思わず、その写真に駆け寄った。


この魚、頭が透けてる…!!


「深海の生物って不思議だよね
 けどミカ先輩、
 こういうグロいの、平気なんだ。」

「え うん…」

引かれ ちゃった?

「はは そっか。」

え 


…笑われちゃった。



「ほら、こっちも凄いよ」

「うわ、ほんとだ!!
 え えこれ、どうなってるの??」

「歯並び悪過ぎ。
 こんだけ歯が長いと
 自分の口の中に刺さりそうだよね。」

「だよねぇ。
 どうやって餌を食べるんだろ…」





楽しい。


凄く楽しい。





「すげぇ…」

「おぉ、これかぁ…」

「なんだか怖い位ねぇ…」


前を歩いていた両親とリョウ君が
人だかりの前で立ち止まった。



【深海の神秘 大王イカ日本上陸!】

そう書かれた横断幕の下に
それはあった。

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