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「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

「はいはい、図書室では
 静かにしましょうね。」

パンパン、と手を叩きながら
松井さんがギャラリーになった子達を
散らした。

「俺が管理する場所で
 嫌な思いをさせてしまって
 すみませんでした。」

「松井さん、見てたなら止めないと!」

神鳥さんが松井さんを睨む。

「すみません、
 ちょっと所用で
 外にいたものですから
 
 …にしても
 君、本当に男運無いですよね」



「う   …はい
 だと、思います」

男運無い

その言葉は、なかなかガツンと響いた。
優司くんの件にしろ… そうかも。

「松井さんって口調は穏やかなのに
 たまぁにヒドいこと言いますよね。」

神鳥さんが松井さんをまだ睨んでいる。

「ヒドいでしょうか?
 正論だと思ってますけど」

「だから相手にとっては図星で、
 傷ついちゃうんですよ」

「…」


神鳥さぁん…。



やれやれ、とため息をもらしながら
松井さんはカウンターに戻って行った。



「聞きましたよ
 卒業式の大告白。
 羨ましいって子が多いけど
 私は大変そうだなって思っちゃった」

苦笑いの神鳥さんも可愛い。

「うん、ほんとにその通りだよ。
 私、すごく流されやすいから、
 断るタイミング、逃しちゃった。
 そういう性格、自分でも
 嫌になっちゃう。」

大して親しくもないのに
何故かこの子には
本当の気持ちを話せてしまう。

「優司先輩って
 かなり強引な人らしいですもんね。
 付き合ってて辛くなることとか
 ないですか?」 



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