テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

「勝手にっ!ひどいよっ!!」

「えぇ?ダメだった?
 ごめんね エヘ」

ヤマちゃんの様子は
全然悪びれてなんかいない。
寧ろ、わざとらしい…。

「ミカティ、どうせ
 部活の連絡網を作んなきゃ
 いけないんでしょ?」

うぅっ ミッチまで…っ
けど確かに

「そうだけど…」

そうなのよね。
いつかは聞くことになるし
知られることになるのだ…。



「じろうくーんっ」

その時、やたら耳に障る
エミの
甘ったるい声が聞こえてきた

「やべ…来た。
 じゃ!今日は部活休むから!」

「うん って…えっ!!?」


次朗くんは慌てて
開いた窓のへりに飛び乗ると
そのまま外へ…


って… ここ 三階




「!」




「えっ?! 何やってんのよっ!」

「きゃ…」



私達は次朗くんの姿を追って
窓に駆け寄った。



「あ」

窓のすぐ下、 
桜の木の枝に彼はいた。
窓から顔を出した私達に振り返ると、

「びっくりさせてごめんね」

そう言って
すまなそうに微笑んだ。


「…次朗くん」


彼はそこから、
軽やかに地面に飛び降りると
見下ろす私達に手を振り、
何事もなかったかのように
歩き去って行った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ