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「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

「ミカティお待たせ」

「なんで?
 なんで次朗くんがいるの?」

ヤマちゃんとミッチに混ざり、
次朗くんまで入って来た。
会いたくないのに…。

「ミカに用事があるんだって」



「何…?」

「こっち。
 朝、聞けなかったから。」

次朗くんが携帯を振る。

「え   …や」


やだ


「また
 らしくないの持ってるねー」

「楽々携帯だ!
 うちのお爺ちゃんも
 色違いで持ってるよ」

「…えっと ここ押して…
 確か新規登録…」


ヤダ


「次朗くん、
 赤外線使った方が楽じゃない?」

「え?赤外線??
 肩こり直すやつ?!」

「じゃなくてさ 
 ミカティの携帯貸りるね」




ヤマちゃんが
無防備に机に置いていた
私の携帯を手に取った。

「え ちょ…!」

「勝手にいじるよ
 えっと赤外線は… これだ!

 えいっ!交信!!」


うわ…っ!! 



  ♪ ピロリロリン…♪



「へぇ、便利!」

「赤外線知らなかった?
 そっか、初めて携帯電話
 持ったんだもんね。」

「ほい!ミカティ、登録完了!」

「えっ?!」

ヤマちゃんが私の携帯を
元の場所に戻した。


…何を勝手にっ…!
やめてよぉ~っ!!


「“佐伯ミカ”…
 うん、ちゃんと入ってる!
 すごいなぁ 赤外線かぁ
 文明の利器だね。」

私も、慌てて確認する。
“隠土次朗”
確かに、電話帳に
その名前が入っていた…。

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