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「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

「開けていい?」



返事を待たずに、
隠土先生は仕切りのカーテンを開けた。

「どうした?
 熱は…」

おでこに手を当てられる。

大きくて、あったかい手が
すごく気持ちいい

「…熱は無いか。
 少し貧血みたいだけど
 他には特に異常は無さそうだな。
 …毎月大変なのか?」

へ? 毎月??
…もしかしてアレ? 生理?

「いえ」

「っあ…ごめん。
 普通聞かないよな。
 デリカシー無かった、ごめん。」

「いえ、大丈夫です」

「前と最中は体調が崩れやすいって
 うちのお袋が言ってたから。
 産婦人科医なんだ。」

「そうなんですか」

隠土先生のお母さんって
産婦人科の先生なんだ。
きっと先生みたいに優しいんだろな。
いいな… 
取り上げて貰いたいかも。

そう言えば
もうすぐ生理予定日だ。

今まで不順だった事はないし
何事もなければそろそろなんだけど


もし 妊娠してたら



ゾクリ…


「…それとも

 他に、何か心配な事でもあるのか?」

「…いいえ」


言えないよ
もしかしたら妊娠したかもしれなくて
不安で仕方がないんです
…なんて


「俺に言い辛くても、
 友達や幼なじみには相談しろよ。
 一人で抱え込むのが
 一番良くないんだからな」

優しい目

「はい…  あの 
 ありがとうございます…」

「それにうちの弟
 あいつも、あぁ見えて頼れるから」

次朗くん…?

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