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「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

途中の廊下も階段も静かで
私の不安が一層濃くなる気がした。



避妊なんて多分してない


どうしよう どうしよう




保健室は家庭科準備室の隣にある。
家庭科の授業は行っていないらしい。
隠土先生、いるかな…



「佐伯さんどうした?
 凄く顔色悪いじゃない!」

「なんだか気分が悪くて…
 休ませてもらってもいいですか?」


相当具合が悪そうに見えたらしい。
すぐにベッドに寝かせてくれた。

…寝たからといって
良くなるわけでもなく、
寧ろ思い詰めてしまう…


私はお腹に手を当てた。



妊娠したら

優司くん、結婚しようとか言ってたし




ダメダメっ!!

私子供は好きだし
いつかは産みたいけど

まだ いや…

そんなの
まだ ダメだよ…っ!!





「佐伯さーん、私ちょっと
 出かけなきゃいけなくて。
 けど、すぐ戻るから。
 一応隠土先生にお願いしていくけど
 …じゃ、すみませんけど お願いね」

「分かりました。
 何かあったら連絡入れます」

あ 隠土先生の声だ…。



保健の先生が出て行くと

「佐伯?」

隠土先生が話しかけて来た。

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