
「再会」と呼べる「出会い」
第4章 兄と弟
「…はぁ」
溜め息と同時に
サイドブレーキを引く。
結局次朗は、自宅に到着するまで
延々とイカについて語ってくれた。
「着いたぞ
悪いがイカは買い置きしてない。」
自宅に到着し、軽トラを降りる。
「いやぁ…
何度か覗きには来たんだけど
築年数、相当経ってるよね。
ポスト外れかかってるし
俺、直しておくよ」
「あぁ、つい忙しくて
そのままになってたな。
お前、こういうの得意だったし、
頼むよ」
次朗は手先が器用だった。
かつて住んでいた場所で、
近所の農夫に頼まれては
よく、農具や荷車などの
修繕を行っていた。
それに、廃材で子供達に玩具や遊具も
作ってやってたな…。
「荷物、それで全部か?」
次朗が荷台からトランクを下ろした。
居候すると言った割には、
荷物はそれだけだし、
大きさも、大した事がない。
「うん。これだけあれば充分」
「飯は?」
「家で食べて来た。」
「…お前がここに来るんじゃ
家族も寂しいだろうな」
「そうだね…。
けど、いない方が都合いい事だって
あるでしょ?」
「都合がいい事?」
「女の子を連れ込む時とかね。
俺がいると、
相手が遠慮しちゃうから。
俺らは全然構わないんだけど。」
…流石
同居している曾孫、
血は争えないようだ。
「曾孫って言っても還暦近くてね。
俺といると親子に間違われんの。
顔も結構似ちゃっててさー。
そういうのも含めて尚更。」
還暦近い…だよな。
だったら
「…結婚は?」
「あの子はね…」
還暦近い人も“あの子”か…。
「ワケがあって
結婚出来ないんだよね…。」
「ワケ?」
「ま、それも追々」
またかよ…
勿体ぶるな…
溜め息と同時に
サイドブレーキを引く。
結局次朗は、自宅に到着するまで
延々とイカについて語ってくれた。
「着いたぞ
悪いがイカは買い置きしてない。」
自宅に到着し、軽トラを降りる。
「いやぁ…
何度か覗きには来たんだけど
築年数、相当経ってるよね。
ポスト外れかかってるし
俺、直しておくよ」
「あぁ、つい忙しくて
そのままになってたな。
お前、こういうの得意だったし、
頼むよ」
次朗は手先が器用だった。
かつて住んでいた場所で、
近所の農夫に頼まれては
よく、農具や荷車などの
修繕を行っていた。
それに、廃材で子供達に玩具や遊具も
作ってやってたな…。
「荷物、それで全部か?」
次朗が荷台からトランクを下ろした。
居候すると言った割には、
荷物はそれだけだし、
大きさも、大した事がない。
「うん。これだけあれば充分」
「飯は?」
「家で食べて来た。」
「…お前がここに来るんじゃ
家族も寂しいだろうな」
「そうだね…。
けど、いない方が都合いい事だって
あるでしょ?」
「都合がいい事?」
「女の子を連れ込む時とかね。
俺がいると、
相手が遠慮しちゃうから。
俺らは全然構わないんだけど。」
…流石
同居している曾孫、
血は争えないようだ。
「曾孫って言っても還暦近くてね。
俺といると親子に間違われんの。
顔も結構似ちゃっててさー。
そういうのも含めて尚更。」
還暦近い…だよな。
だったら
「…結婚は?」
「あの子はね…」
還暦近い人も“あの子”か…。
「ワケがあって
結婚出来ないんだよね…。」
「ワケ?」
「ま、それも追々」
またかよ…
勿体ぶるな…
