テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

俺達は四津川町にある、
俺の自宅へと向かった。

前述通り、自宅は
婆ちゃんが他界し、
両親は俺が就職を決めたと同時に
海外へ行った為、
今現在、俺が一人で暮らしている。

両親が今すぐに
戻ってくる事はないだろうから、
次朗が突然居候したとしても、
何の問題もない。

けど一応、ハガキででも
友人が居候すると伝えておくか。

弟 とは言えないからな。
両親は普通の人間だ。
…“前世”の両親とは違う




「お前、さっき仲間がいるって
 言ってたけど」

ダーマさん 
松井先生
それに校長先生

三人の事を確認したい。



「後でね」



また勿体ぶるな…
だったらこっちから具体的に聞くか

「もしかしてうちの学校の」

「あーっ!!
 見てっ兄さん!!」

「あ?」

助手席に座った次朗が
身を乗り出して指を指す。
シートベルト、意味ないな…。

「俺っ!アレ行きたいんだよねっ!!」


『世界のイカ展
 深海の神秘 大王イカ日本上陸!!』


次朗の指差す看板にそう書かれている。



…行けば?


「行って来いよ」

「開催期間中
 イカ料理の屋台販売と
 新鮮なスルメイカの販売が
 あるんだよねー」

「…お前
 そんなにイカ、好きだっけ??」

「こっち(日本)に来てからかな。
 何より干したイカの、
 あの独特の匂いがさぁ、
 たまらないんだよねーっ!!」

赤信号で止まり、
チラリと隣を見ると
次朗が看板を見つめて
瞳を輝かせている。

…干したイカの匂いって

…あぁ



次朗はその後
“イカ”の生態、
“イカ”の魅力、
“イカ”がどれほど美味いか
…延々と語ってくれた。




まぁ、昔からよく喋る奴ではあったが。

ただ…

こちらが質問する隙間など、
一切与えてはくれなかった。 








ストーリーメニュー

TOPTOPへ