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「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

賑やかに、歓迎会は終わった。


「先生方の飲み会は
 いつもこんな感じよ。
 結構みんな飲んでたけど
 明日にはスッキリした顔で出てくるわ」

「皆さん強いんですね」

店を出て、学校までの道のりを
校長先生と並んで歩く。

4月上旬
全く酔ってもいないので、
夜の空気はまだ少し冷たく感じる。

月が…
満月に近い形で道を照らす。

月も星も
太陽も雲も
百年前と何ら変わらない。

次朗と一緒だな…






「隠土せんせーっ!
 ケー番教えて下さいよーっ」

若い女の先生が駆け寄り、
酔っぱらった感じで絡まってきた。

…この人、
そんな酔ってるようには思えないが。

俺は一応、アルコールが身体を
どの程度酔わせているかも見える。


「アラアラ…仕方ないわねぇ」

校長先生がにこやかに見ている。


…悪いが、俺は今
そういう出会いは求めていない。

「連絡網の方に載ってると思うので」

「えーっ!!
 そっかぁ…じゃ、登録しときますぅ!
 隠土先生って、お家どこですか?
 良かったら、帰り、ご一緒しません?」

「すみません、これから約束があるので」

「えーっ!!!
 そ それってもしかして
 女性、ですか??」

「えぇ、まぁ」


そんな存在は今の所いないが
俺はその場しのぎにそう答えた。

黒髪が長めの、見様によっては
女に見えなくもない…


絡まってきた先生は

「そうですかぁ、残念」

そう言うと、
一緒に歩いていた同僚達の元へ
戻っていった。

あっさりと引いてくれて、
あまり突っ込まないでくれて助かった。







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