テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

歓迎会は学校近くにある
養鶏場直営の居酒屋で行われた。

「へぇ、直営ですか」

「ここのは新鮮で、
 どれも美味いんですよ
 特にはい、レバー。
 この味はここだけだ。」

教頭先生が席につくやいなや薦めてくれた。

うん 確かに美味い!
元々レバーは苦手だったが
これはもう一本欲しくなる。

「もうね、来た人から始めちゃうって
 感じなんだよね。」

「そうそう。
 私らなんかほぼ毎週来ちゃってるし」

「じゃーん!マイボトル。」

時間通りに来たつもりだが
教頭先生を筆頭に、
年配の先生方は揃っていて
既に出来上がっていた。

「隣、いいですか?」

「どうぞ」

松井先生が、隣に座った。

「松井くんも、今日は飲んでね
 いやぁ、自分の教え子と
 飲めるってのは、いいもんだね」

「教頭先生、俺の担任だったんです。」

「へぇ!そうなんだ!」

松井先生が教えてくれた。

最初の時の冷たい印象とは違い、
さっき図書館の片付けを
していてもそうだったが、
よく話してくれる。

「すみません、俺下戸なんで。
 ウーロン茶下さい」

「飲めないんだ?」

「はい。
 俺、コップ一杯でぶっ倒れて
 しまうんで
 …大学時代はそれで好きな子に
 告白し損ねて…
 結局、誰かに寝取られてしまいました。」

「っ…!!寝取られたの??」

「なんだなんだ?
 新人同士、面白そーな話してんなー」

ビールを手にした林田先生が
松井先生の隣に陣取った。

「なんかね…ショックはショック
 だったんですけど
 取られたって事より
 寧ろ女の子の方が
 軽過ぎなんじゃないかって思えて 
 …複雑でしたね、あん時は」

松井先生がサラリと言った。

単調だが話す内容はなかなか衝撃的だ。

「軽い女、ねー。
 男には都合いいけどな。
 付き合うなら、無いわな」

林田先生が語る。


『最近の子って貞操観念が低いよねー』

俺はカラ…次郎の言葉を思い出す。
最近の…


神鳥も、そうなのか?
もう既に 他の奴と…


…っあーっ!!
んなの考えたくねーっ!!



あれ

今日会ったばかりなのに
彼女が月子の生まれ変わりだと
分かっただけで

気になってしょうがない。



もしかして

俺、やばい?




ストーリーメニュー

TOPTOPへ