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「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

彼女を失った時の
お前の気持ちは想像出来ないな。


「兄さん」

「なんだ?」

「暫く、
 一緒にいてもいいかな?」
 
「…あぁ」


久し振りに会えたんだしな。


「両親が今、海外に行ってるから
 家に一人なんだ。
 うちに来ればいい」

「やった!」

喜んでる時の表情は昔と一緒だ。


…ん それにしても


「お前、今どうしてるんだ?
 家とか 家族とか」

「今は曾孫と暮らしてる。
 兄さんの所に行くって事は
 言ってあるから。

 今度紹介するよ!」

「へぇ曾孫か。
 すげーよな。
 ちゃんと子孫残してんだもんな。」

曾孫で60歳位か?
だとしたらその孫だっているんじゃねーの?

「後で家系図書いてもいいか?」

「結構複雑になってるよ。
 ま、兄さんにとっても親戚だからね
 追々紹介出来る子は紹介するよ。
 もう普通の人間と変わらない
 生活を送ってる子には
 俺の存在、
 明かしてなかったりもするから。
 全員は無理かな。」

“血”も薄くなっていくか。

歴史を感じるなぁ…
だって戦争とか経験したって事だよな。



「今日これから歓迎会でしょ?
 終わった位で行くから」

「あぁ、知ってたんだ。
 いいよ、欠席する。
 久々に会えたんだ、
 何かご馳走したい。」

「仕事の付き合いは
 行っといた方がいいよー。

 俺は、飯なんてこれからいつでも
 食べさせてもらえるし。
 
 今日は行ってきなよ!」

「そうか?
 …悪いな」 

「さて、それじゃ、一端行くね。
 また後で」

ニッコリ笑ってそう言うと、
次朗は入って来た窓から出て行った。


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