
溺れる愛
第4章 混沌
その日の昼休み。
五限が体育で、普段は男女別にも関わらず
校庭と体育館の兼ね合いで合同になってしまったらしい。
お決まりのごとく学級委員が準備に駆り出されたのは言うまでもない。
(何のための体育委員なのよ!運動会の時だけが仕事ですか?学級委員はパシリですか!)
心の中で悪態をつきながら体育館倉庫を那津と一緒に目指していた。
「おい、何キレてんだよ」
蒸し暑い廊下を涼しい顔で歩きながら那津が声をかけてくる。
普通のトーンで話をするのは、どうやら2人の時だけみたいだ。
『だって、何であんたと1日に何回もこうして並ばなきゃなんないわけ?』
昨日の事は深く心に突き刺さったまま。
今は学校にいるから普通にしていられるが、外にでるとやはり恐怖が勝つだろう。
「まーそれは、お前が俺のペットだから?」
『…!違う!!』
「違わねーよ」
少し低いトーンで否定されると、今まで強気で居られた芽依も、一気に怯えて黙ってしまった。
(本当嫌な奴……。)
那津は満足したように、そのまま少し先を歩いて行った。
