テキストサイズ

溺れる愛

第4章 混沌




もはや条件反射のように身体が震え、バッと振り返るとそこには、またあの心底鬱陶しそうな顔をした那津が立っていた。


「さっさと来いよ。お前のせぇで俺が先生に言われたじゃねーかよ」


(…全然優しさの欠片も感じられない…。)


『はいはい。すぐ行きますよ。』



どこかふてくされた様な態度で那津の横を通り過ぎる。


(せっかくいい気分だったのにあいつのせぇで冷めちゃったじゃん!)


ズンズンと歩いて自分のクラスの場所へ行くと先生に軽く怒られてしまった。



「新井ー。学級委員が何やってんだー?」


『…すみません』



すると、あとから来た那津が横に座ってから小声で


「怒られてやんの。ばーか。」


ボソッと呟いて、また楽しそうに芽依を嘲笑っていた。


(この悪魔!!本っ当嫌い!)


ふんっと返事をせずにそっぽを向いて無視すると
壇上から校長の声が聞こえてきて、騒がしかった辺りがしんと静まり返った。



「皆さんおはようございます。今日は、最近ニュースにもなっている通り魔事件の事で……」



(先輩…ちょーかっこよかった…)



ストーリーメニュー

TOPTOPへ