
溺れる愛
第4章 混沌
思わずビクッと身体を震わせて、隣に立つ那津をじろっと睨むと、彼は何食わぬ顔で皆を整列させていた。
(本当…腹立つ。)
「みんな並んだなー。じゃあ体育館行くぞー。」
先生の後ろを芽依と那津が先頭になってクラス全員で移動する。
後ろからは皆の楽しそうな会話が耳に飛び込んでくるが、芽依はそれどころでは無かった。
『誰のせいでこんな顔になってると思ってんの?』
ボソッと先ほどの那津同様に言い返すと
彼は静かにそれに応戦した。
「あぁ、俺?」
『あんた以外に誰がいんのよ』
「さぁ…、あ。何か声掛けられてたじゃん。そいつらとか?」
『そんなの有り得ないでしょ。実際何も無かったんだし』
階段に差し掛かる。
尚もボソボソと2人の言い合いは続いた。
