
溺れる愛
第21章 波乱の合コン
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「凄いじゃん!インテリアコーディネーターなんて、格好良いな」
『そんな…、先輩も税理士だなんて…
それこそ格好良いですよ』
「ははっ、ありがとう。
さすがにこれは頑張った証かな」
さっきから私はずっと先輩と話している。
先輩もあの頃と変わらず、物腰も柔らかくてとても優しい。
だけどやっぱり、どこか引け目を感じてしまう。
それは…自分が先輩を傷つけた過去があるから…。
「あ、グラス空いたね。次何飲む?」
『えーと…じゃあジントニックを…』
「OK、頼んで来るね」
そう言って先輩は呼び出しボタンのある方へ行ってしまった。
そこですかさず菜々子ちゃんが耳打ちしてくる。
「せーんぱいっ!もぉ~あんなに素敵な彼がいただなんて!今日は焼け木杭に火が着いたー!的な感じですかぁ?」
『菜々子ちゃんっ…そんなんじゃないから』
そう…私はもう…那津以外の人なんて無理だと思う。
「えー勿体ない!あ、それか
やっぱり先輩は田所さんがいいですか?」
『だから、田所さんとは別に…』
「ん?僕が何か?」
そこに、さっきまで先輩が座っていた場所に
グラスを片手にニコニコ顔の田所さんが現れた。
もう…菜々子ちゃんのバカっ!
私は心の中でそう思って
恨めしそうな目つきで菜々子ちゃんを見たら
彼女はペロッと舌を出しておどけた。
わ…わざとだったのね…!
菜々子ちゃんって、相当な策士だな…。
