
溺れる愛
第21章 波乱の合コン
「結構飲んでるみたいだけど…大丈夫?」
『あ…はい。大丈夫です』
「そっか。まぁ酔っても俺が介抱してあげるから安心して」
二人だけの時は…“僕”じゃなくて“俺”になる。
話し方一つ違うだけで、全然違った人に見えてくる。
仕事モードの田所さんは、優しくて
だけど芯のある女顔の綺麗な男性。
だけど、今のこの田所さんは
なんだかアブナイ香りのする…少し大人な男性って感じ。
この田所さんは少し苦手なの…。
だって…なんだか上手く丸め込まれそうで…。
どこか、昔の那津の雰囲気にも似ている。
だから怖いのかもしれない。
彼の思わせぶりな発言に流されてしまいそうで…。
『そこまで酔っ払ったりしませんから…』
「そう?じゃあ…酔わせたらどうなる?」
『ど…どうと言われましても…』
「ふふ…困った芽依ちゃんは可愛いね。
普段は美人さんってイメージだけど」
ほら…ね?
サラッとこんな事を言っちゃう人なの。
だから警戒しちゃうの。
流されちゃダメだって。
『そんな事ないです…』
