
溺れる愛
第8章 夏休
──────………
『いたっ…』
大きな浴槽に一人浸かりながら
日に焼けた肌の刺激に声が洩れる。
(日焼け止め塗ってたんだけど…やっぱり結構焼けちゃったな…)
Tシャツから出ていた腕と、首回りが真っ赤になっていて
そこに熱いお湯が滲みた。
夕食前に入浴を済ませて汗を流す。
部員は夕食後も、ストレッチやミーティングなど
就寝までまだまだやる事がありそうだ。
(何か出来ることはないかな…)
本当に言われた通り、タオルやスポーツドリンクを用意するだけの芽依は
なんだか申し訳ない気持ちになっていた。
(これじゃあ…私一人だけ、ただの旅行と変わんない…)
美肌効果のある温泉に浸かりながら
昼間の俊哉とのやり取りを思い出しては赤面する。
のぼせる前に早く出ようと、そのまま脱衣場へと急いだ。
(浴衣……着ちゃおうかな…)
用意されていた旅館の浴衣を手にとって、そっと袖を通す。
(今は夜だし…いいよね…?)
心の中で言い訳をしながら、少し弾む気持ちで鏡の前に立ち、濡れた髪を上げた。
