
溺れる愛
第8章 夏休
「ははっ、芽依、こっち向いて?」
思わず照れて俯いた芽依に、俊哉は優しく笑いかけてくる。
(今…絶対顔紅いもん…)
そっと上目遣いに俊哉の顔を見ると
優しくこちらを眺める俊哉とバチっと目が合う。
「芽依…顔真っ赤…」
『あ…あの…っ、ごめんなさい…っ』
「なんで謝るの」
ふふっと小さく笑いながら、俊哉の手がそっと頬に触れた。
その瞬間、捕らわれた様に芽依の身体は緊張の余り硬直してしまう。
(な…なに…!?え?先輩…ほっぺた…!?)
俊哉は愛おしそうな眼差しで、そのひんやりとした心地良い手のひらで芽依の頬を包む。
「芽依は本当、可愛いな。」
『───────!?』
(ど、どうしよう!ちょっと…やだ…何か言わないと…!)
固まる芽依に、俊哉は更に続けた。
「誰かに盗られちゃいそうで、心配だな」
