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甘い恋の始まりは最悪の出会い

第2章 虎我の過去


俺は噂の藤澤さんが来ても、さっきと同じように、自分のペースで飲み始める。

クスッ

そしたら突然前から笑った声が聞こえた。

前を向くと、ニコリと笑う藤澤さんがいた。

何が面白くて笑っているのか。

でも明らか俺を見て笑っている。

何もしてないのに人に笑われるのは気に触る俺は顔をしかめて、藤澤を見た。

美「あぁごめんごめん。君変わってるなぁって思って」

笑顔で話す藤澤さんの言葉に俺はもっと顔をしかめた。

変わってる?どこが?
俺は至って普通だろ。

美「あたしさ、これでもキミの上司な訳じゃん?

なのに何にも気を使ったり、媚売ったりしないんだもの。

それにまるであたしなんて、目の前に居ないかのように1人自分のペースで飲んでさ~」

あぁ、なるほど。

でも、

虎「それって上司なら逆に怒るところなんじゃないんですか?」

そう。普通ならキレられてもおかしくない行動をした俺。

美「あれ?なんだ!そういう知識は持ってるんだね!知らないのかと思ったよ」

またクスクスと笑う藤澤さんに少しイラッとした。

虎「それくらい分かってます。馬鹿にしないでください」

イライラした所為か無意識に睨んでいたかもしれない。

美「ごめんって、佐藤くん!」

顔の前で手を合わせて謝る藤澤さん。

俺は謝ってもらうことよりも何で名前を知ってるのかが気になった。

虎「何で俺の名前知ってるんですか?てか、何で俺に関わったんですか?」

美「えっ?だって上司が1番手を焼いてる新人の佐藤くんって有名だから。そこで名前知って、どんな子なんだろーって気になったから今、ここにいる!

あ!あとお昼の時間いつもボッチだから前々から気になってたんだけど、佐藤て友達いないの?」ニコニコ

虎「………………」

あまりにも満面の笑みで言われるものだから、怒り通り越して呆れてきた。

そんな様子を見て気づいたのか

美「あ、もしかして今、あたし佐藤くんを馬鹿にした言い方した…?」

虎「はい。」

俺は藤澤さんに目もくれず、素っ気なく答えた。

美「ご、ごめんなさい」

虎「いえ。」

美「……本当の佐藤くんに関わった理由は佐藤くんが当時の私に似てるから。」

突然そんな事を言った藤澤さんに思わず顔を向けた。

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