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片想いの行方

第49章 償いの理由




「……大丈夫だよ。

もともと料理をするのは好きなの」



私はその後を追って、ヒメに話しかける。



「いいって。
なんか冷蔵庫の中に適当にあるだろ」


「昨日買った食材もあるし、すぐ出来るよ。
……それに私、ヒメにお礼がしたいの……」


「……………」



……私がヒメに何かできるとすれば、これくらいだから……


ソファに座ったヒメは、私をじっと見た。



「……お前がいいなら、俺は嬉しいけど」


「……うん!」




ヒメの嬉しいって言葉を聞いて、私も心が温かくなる。


すぐにキッチンに向かって、冷蔵庫を開けた。



あ………




「……ヒメ……卵……好き?」


「卵?」



冷蔵庫の扉にそれを見つけて、私は恐る恐る聞いた。



「俺、好き嫌いとか無い」


「ほんと?じゃあ卵焼き作っていい?」



私はなんだかドキドキしながら、卵を取り出した。

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