
片想いの行方
第47章 探り合い
ふいに後ろから、男の人の声がしたので降り返ると
バーテンダーのユニフォームに身を包んだ店員さんが、こちらを見て微笑んだ。
「俺、ビールでいいわ。美和は?」
「え!? あ、あの……」
「飲めねーの?」
「……えっと、少しなら……」
じゃあ2つで、とヒメは言うと、ダウンベストを店員さんに渡す。
「お連れ様も、お預かりしますよ」
その人は優しく微笑みながら、私にも話しかけてきて
私は慌ててコートを脱いで、差し出された腕にかけた。
……私達と同じ年か、少し上くらいかな……?
「ヒメ、お前今日はシフト入ってねーだろ」
その店員さんは、ヒメに対してはフランクに話す。
「急遽無理して調整したんだから、ちゃんと仕事しろよな」
「はいはい、分かったから早く持ってこいよ」
ヒメは店員さんを見ずに、ひらひらと手をふった。
………な、なに今の会話………
まさか………
