
片想いの行方
第37章 ひとつだけの宝物
俺が見ていた美和は、本当に楽しそうだった。
その笑顔を受け入れる蓮も、すっかり本来の姿に戻っていた。
美和と蓮は、いつもお互いを想う優しさで溢れていて
俺だけじゃなく、他の誰から見ても2人はお似合いだった。
……だから………
今ここで美和が泣いてる理由は、どうしても思いつかなかった。
「…美和、なんでお前が悪いんだ?
……蓮が好きなんだろ………?」
「…………うん………」
俺の言葉に、少し間を置いて美和が答えた。
……ズキっと小さく心が痛む。
……そりゃ、そうだろ。
何を期待して、こんなバカげた質問を……
再び立ちあがろうとすると、美和が口を開いた。
「蓮くんのことが、好き。
………だけど…………
あたしの心の中には
いつもヒメがいたんだよ」
