
片想いの行方
第37章 ひとつだけの宝物
「………………!」
一瞬、体が動かなくなる。
俺はその言葉に耳を疑った。
「…あたしは、世界中で1番バカだから……。
蓮くんが言ってくれるまで、そのことに気付かなかった。
……だけど、蓮くんは……
そんなあたしの心を、ずっと分かっていたの」
美和の目から、涙があとからあとから流れだす。
俺はただ唖然として、美和を見つめることしかできない。
「……蓮くんに告白する前から。
ヒメがあたしに協力してくれた理由が、優香さんを取り戻す為じゃなかったってこと……
蓮くんとあたしの為だってこと
知ってたの……」
「……なっ」
俺はやっと声が出る。
「何意味わかんねーこと言ってんだよ。
この俺が、そんなボランティアみたいな真似するか」
「…だって、アンナに聞いたもん」
美和が少し声を大きくして言った。
「…………っ」
あの女~~~!
ベラベラと、しかも本人にバラしやがって!
マジで言うんじゃなかった……
