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薫子の先生な日常

第2章 Kとわたし

「先生、川原がやりました」
名指しされた少年を見やると、彼は慌てた様子でびくりと肩をあげた。

Kと同じ野球部の彼は、初夏にはこんがり日焼けしていて 顔の皮があちこち剥けていた。

彼の友達が無邪気に引っ張った結果だ、とKがちょうど前日に言っていたそれかあ、とまじまじと見てしまう。

すると、川原はますます慌てて

「ごめんなさい!!サボテンにご飯あげようと思って!」

と 何度も繰り返し言う。

私は途中で制止し、放課後部活に行く前に ご飯つぶを全部とること、

部活の顧問やチームメイトには全員に事情を話した上で遅れることを謝罪するよう、命じた。

当然だ。

川原は しまった…というしまらない顔をしてぽかんと私を見つめるのだった。

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