
隠れて甘いkissをして
第74章 大切なひと
「ちょっと美和。
そろそろ雑誌返してよ」
ふいに、隣りの席から声が聞こえてきた。
「それ今日が発売日で、私だってまだちゃんと見てないんだからね」
「待ってよアンナ、もうちょっとだけ!」
「もー。じゃあ一緒に見せてよ」
楽しそうな会話に、私はちらっと隣りの席に目をやった。
美和・アンナと呼び合った2人は、テラス席に並んで仲良くひとつの雑誌を見ている。
どちらの女の子も、とっても可愛い。
制服を着ていないけど、高校生くらい?
あ、そっか。
今日は土曜日だから、遊びにきてるのかなぁ。
若くて可愛くて羨ましい♡
…………私からすると
もう、10年以上も前なんだな…………
少しだけ学生時代の思い出に浸っていると、美和と呼ばれた子が口を開いた。
「それにしてもさー、
アンナがずっとファンって言ってた俳優さん。
確かにめちゃくちゃかっこいいけど……
えーっと……
七瀬隼人……33歳?
えー!! そんな年上なの!?」
