
隠れて甘いkissをして
第72章 旅立ち
私がゆっくりと近付くと
隼人は優しく笑いかけた。
……泣かない。
その愛しい笑顔を、最後まではっきりと自分の目に焼き付けたいから。
もう、十分泣いたから………
「ちゃんと飯食うんだよ?」
「……うん」
「寂しくなって少しでも辛くなったら、いつでも電話して来いよ。
1日中稽古してるわけじゃねーし、俺も由宇の声が聞きたいから」
「うん。そうする。
………ありがとう」
「……由宇……」
「……………っ」
隼人の大きな腕が、私を優しく包み込んだ。
彼の体から私の体へ、温もりが伝わってくる。
………もう、これ以上何の言葉も必要無い。
