
隠れて甘いkissをして
第68章 伝えたい想い
「……由宇。
多分あんたは耐えられないと思うわ」
「………!」
アンジーが静かに言う。
「あいつの演じる役は、過酷な運命に翻弄される奴隷の男よ。
途中で餓えに苦しむ場面もあるから、逆の身体作りをしなきゃならない。
役柄を現実に持ち込まない隼人も
流石に長期の公演となると、そうもいかないだろうから」
ドクドクと心臓が鳴る。
体が微かに震えた。
「会社もバックアップできないし、当然あっちではアタシも無力よ。
それに…いくら今日本での人気俳優とはいえ、2年も離れるのよ。
戻ってきた時に、今と同じポジションが残ってるとは限らない。
それでも……決意したのよ。
父親への想いと、役者としての魂が
隼人を動かしたの」
