
隠れて甘いkissをして
第68章 伝えたい想い
「隼人はね、映画が大半で、あとはモデルやTVのCMなんかが中心だったから
舞台の経験が無いのよ。
映像と舞台では勝手が違うからね、一から学ばなきゃならない。
まぁあいつなら稽古を積めばなんとかなるんでしょうけど。
今度の舞台は生半可な覚悟じゃできないのよ」
アンジーは目線を前に戻して続ける。
「それは今まで世界の錚々たる俳優が演じてきた、伝統ある舞台でね。
隼人の父親の演出で、その人気は絶大に上がって、次回公演の期待は相当なものなのよ。
いくら現地のスタッフに認められたからといって、あっちでは無名の隼人は、出演前から完全にアウェー。
それに、隼人のスペイン語は日常生活で困らない程度のレベルだから、語学も鍛えなきゃいけない」
アンジーは、淡々と話しているけど。
私はその壮大なスケールに圧倒されて、何も言葉にできなかった。
