
隠れて甘いkissをして
第68章 伝えたい想い
バッグを持って、エレベーターに乗る。
携帯のアドレス帳を開くと、1番上に、あの人の名前がある。
「…………」
迷ったけれど、もうこれ以上自分では答えが出せないから…
エントランスホールに降りると、私はその番号に電話をかけた。
胸がドキドキする。
私から電話するのは初めてだ。
何回かコール音が鳴った後で
その人は鼓膜が破れるような大声で電話に出た。
「バカ!! 遅いのヨ!!」
「…………っ」
その声に、私は感極まる思いがこみ上げてきた。
「どーせ1人でウジウジジメジメ考えてたんでしょ?
なんでもっと早く電話して来ないのよ!
もう待ちくたびれて、こっちから乗り込んでやろうかと思ってたわよ!」
アンジーの怒鳴り散らした…優しい言葉に
私は自然に涙が溢れてしまった。
