
隠れて甘いkissをして
第67章 突然の選択
「…………」
同じ目的地……?
私は、僅かに自分の手が震え出したのに気付いた。
隼人が、重ねた手にさらに力を込める。
「いつか……父が演出家として創り上げた最後の舞台に
主演俳優として出るという、俺とアンジーの共通の夢だ」
「…………!」
「アンジーの働きかけと、日本での俳優業が順調だったこともある。
今年の春にオーディションもしていて、そこで内定は出てたんだけど。
今年由宇と行ったスペインで……
9月の映画祭で受賞したことが決め手になった。
舞台のプロジェクトチームに、父が生きてきた時に携わった仲間に、ようやく認められたんだ」
