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そうだ……

その話はシゲさんの話の中でも聞いていた。

とても有名な人気演出家だったって。



隼人は……クォーターだ。

隼人の中にも、お父さんの血が流れている。




「俺は、実際に父がその仕事をしてるところを見た事が無いんだ。

後で聞いた話では、現場では怒鳴り散らすような熱血系だったって、父の仕事仲間が言っていたんだけど

そんな姿は全く想像つかなかったよ。

家にいる時の父は穏やかで、いつも母の側に優しく寄り添っていた、静かな人だったから」



隼人の言葉のひとつひとつに、耳を済ませた。



「俺が物心が付いた時に、父が俺に繰り返し言うことは、いつも決まって体の弱い母の事だった。

この先もずっと母を守り、大事にしろと。

俺も全力でそうしてるからって。

……それが、本当にその通りになった」