
隠れて甘いkissをして
第67章 突然の選択
「前に由宇には少し話したと思うけど
俺の死んだ父親のこと。
もしかしたら、シゲさんにどっかで聞いたかな?」
………!
ドクンと心臓が鳴る。
隼人のお父さんの事は……
あの事故にあった日に、シゲさんのBARで、シゲさんから聞いていた。
「……うん。
隼人のお父さんとお母さんのことは、ちょっとだけシゲさんが教えてくれたの。
……言ってなくてごめんなさい……」
私の手を握ったまま、隼人は微笑む。
「なんで謝るの。
いいんだよ、由宇には全て知って欲しいし、隠すことは何もないから」
隼人は窓の外を見て続ける。
「俺が生まれてから、父は母と日本に住む事になったんだけど。
半分はスペインの血が入ってて、母と出会う前の拠点はヨーロッパだったんだ。
舞台を中心とした演出の仕事をしていたんだよ」
