
隠れて甘いkissをして
第64章 内緒の準備
後部座席に座り携帯をいじっていた隼人が、急に声をかけてくる。
「は?何よいきなり。
トイレとか言わないわよね?」
バックミラー越しに見えた隼人は、さっきまで外していたサングラスをもう一度手に取った。
そして、ドアに手をかけながら、アタシに向かってニコリと微笑む。
はい、きた。
嫌な予感。
「その先のカルティエの前で停めて待ってて。
すぐ戻るか…」
「待ちなさい」
隼人の言葉をバッサリ切って、アタシはすぐさま、全ドアのロックをかけた。
赤信号になっているのを確認し、後ろに振り返る。
「…こんな銀座のど真ん中で。
これだけ人通りの多い中。
しかも金曜日の混み合うブランドショップに。
何しに行くのかしら?」
ゆっくりと、優しく、感情的にならないように…。
アタシは表面的な笑顔を作って隼人に聞いた。
