
隠れて甘いkissをして
第61章 夢じゃないよね?
…………
3時間前。
立花先輩に指摘されてから、咲原先輩の顔はみるみる赤くなっていった。
さすがの主任もその姿を見て近付いてくる。
「咲原、命令だ。
今日はもういいから早く帰りなさい」
「はい、申し訳ありません…」
咲原先輩はフラフラと立ち上がり、バッグを手に帰り支度を始める。
その姿は今にも倒れてしまいそうだった。
「まったく。 そんな状態になるまで我慢するんじゃないよ。
そこまでしろとは言ってないぞ。
…立花、お前まだ仕事残ってるか?」
パソコンに向かっていた立花先輩は顔をあげる。
「いえ、キリはいいです」
「それなら、咲原を営業車で送ってってやってくれ。
そのままお前も帰っていいから」
ついでに俺も途中まで乗せてってくれ♪とニコニコ顏で言った主任を、先輩はしら~っと見ながらも
「じゃあ、5分後にエントランスに付けますから降りて来てください」
そう言ってカバンを持つと、さっき戻した場所に再び車のキーを取りに行き、社内を後にした。
