
隠れて甘いkissをして
第54章 それぞれの道へ
腕時計の針は、ちょうど日付が変わる夜中の0時を指していた。
「最後ここから出たらこの鍵で閉めて、下にいる係員に渡しといて。
話はつけてあるから」
「………分かりました」
「それから、あんたが芸能界に興味があったらそれに連絡してきなさい。
アタシがあんたを隼人のライバルとして、バンバン売り出してあげるから♡」
「………へ?」
そのマネージャーは、俺にバチッとウインクをして、病院の中に戻っていった。
……この名刺はその為か。
七瀬隼人の言ってた通りだった。
チケットと名刺、そして最後に渡された鍵を握りしめる。
ゆっくり麻里奈の所まで歩き、ベンチに並んで座った。
