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隠れて甘いkissをして

第54章 それぞれの道へ

「………麻里奈」




俺の声に、麻里奈はビクッと体を強張らせて、顔をあげた。




「……! アキく……」




その顔は、涙でグチャグチャだった。


メイクも全部落ちて、目が真っ赤だ。




「………話は聞いたよ」




静かに言うと、麻里奈はまた、わっと泣き出した。




「ごめんなさい……本当にごめんなさい。


謝っても許されることじゃないけど……


大変な事をしちゃった……


私が全部悪いの。


本当にごめんなさい……!」




別れた頃とは異なり、麻里奈の顔は青白くて弱々しい。


咲原の事を恨んでいた目の濁りは、消えているように感じた。

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