
隠れて甘いkissをして
第54章 それぞれの道へ
声のした方に振り返ると
七瀬隼人のマネージャーが、缶コーヒーを持って後ろに立っていた。
「あんたが、隼人をここまで連れてきてくれたのね」
マネージャーは病室の扉をそっと閉めて、俺の手に缶コーヒーを渡した。
「………悪かったわ。
アタシが最初に由宇は無事だって、ちゃんと言わなかったから。
あいつ、ちょっと過去があるんだけど、あんなに取り乱すとはね。
……あんただって、由宇の事を心配していたでしょうに。
隼人に代わってお礼を言うわ。
本当に、ありがとう」
マネージャーは、俺に深々と頭を下げた。
