
隠れて甘いkissをして
第53章 もう離さない
由宇が最後まで言い終わらないうちに
俺はその体をきつく抱きしめた。
あれだけ見たかった由宇の笑顔が、すぐ目の前にあるのに
これ以上由宇を見ていたら、涙で滲んでボヤけてしまいそうだった。
ずっと取り戻したかった由宇が
今やっと自分の腕の中にいる。
「……隼人」
「……ん?」
由宇は俺の胸に顔を埋めたまま、小さい声で続けた。
「私……芸能界には全然詳しくないし……
隼人に出逢ってから、こっそり隼人の映画もいっぱい見たけど…
肝心なデビュー作が答えられなかったの」
「…………?」
