
隠れて甘いkissをして
第53章 もう離さない
シゲさんが病室を出ていった後、俺はゆっくりと由宇に近付いていく。
「……隼人……」
由宇が、俺の名前を呼ぶ。
その目には涙が溜まっていた。
「……頭の……包帯……」
「……あ、これ……」
俺が放心しながら呟くと、由宇はおでこを押さえて小さな声で話し始めた。
「頭を少し擦りむいただけなんだけど、お医者さんが念のためって……
ち、ちょっと、大袈裟だよね。
あのね、ぶつかった車はそんなにスピード出してなかったから、大丈夫だったの。
ここの病院の院長さんが、シゲさんの友人みたいで
だから………
こんな個室まで……」
