
隠れて甘いkissをして
第53章 もう離さない
「……………っ」
シゲさんの後ろから
ベッドに座った由宇の姿が見えた。
俺を見て、今にも泣きそうな顔をしている。
その頭には、ぐるっと包帯が巻かれていた。
「隼人。
そんな入口に突っ立ってないで、こっちに来んか」
シゲさんは微笑みながら立ち上がる。
そして、俺の横に来ると
小さな声で囁いた。
「……由宇ちゃんは大丈夫だ。
お前を置いていったりはしない」
「……………!」
「その手でしっかり抱きしめてやれ」
シゲさんは笑顔のまま、部屋を後にした。
