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隠れて甘いkissをして

第52章 回想

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都内から車で1時間程の


葉山の小高い丘の上にある、小さな病院で


母は微笑みながら、眠るようにこの世を去った。




俺を父だと思い込んでから、入院するまでの母の事は


もう思い出さないようにしている。




また母と暮らしたくて、母がおかしくなった理由を告白した時の


シゲさんが俺に初めてみせた涙を見て……


それ以上話してはいけない、望んではいけないと悟ったからだった。




シゲさんをはじめとした、周りの暖かい大人に囲まれ


毎年増える、心置きなく楽しめる友人達に恵まれて


両親が死んだあとも、俺は何不自由なく暮らしていった。




無意識に続けていた日常の演技も、アンジーが現れ、仕事にのめり込む事で


自分の心のバランスを、保つ事が出来るようにもなった。


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