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隠れて甘いkissをして

第52章 回想

小学生になってから、勉強も運動も……


あらゆる面で、負けた事は一度も無かった。


生前、父が英語とスペイン語をよく話していたのを思い出して


シゲさんの外国の友人達に教えてもらいながら、徐々に言語も取得していった。


毎回、賞状やトロフィーなんかを母に見せて、喜ぶ表情を今か今かと待っていたけど……




『凄いわ隼人。 頑張ってるのね。

お母さん、嬉しいわ』




母はその度に言葉では褒めてくれてはいたけど、その顔に笑顔が溢れることは無かった。




……俺は、別に頑張ってなんかない。



母の笑顔を見たいが為に、当たり前のようにやっていることばかりだったから。




それでも……




英語やスペイン語で本を読んでも


週末に色んな場所に出掛けても


父がしてきたそれらを思い出して、真似をして繰り返していても


母は変わらなかった。




夜になって俺が寝た後に


窓辺で静かに泣いている日々が続いた。


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