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隠れて甘いkissをして

第52章 回想


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父親が死んだのも、交通事故だった。


病院に集まった大勢の人の真ん中で


ピクリとも動かずに横たわる父を、母と一緒に呆然と眺めていた。




だけどその時の俺は、青白い顔をした父よりも


繋いだ手から感じる、母の指先の異常な冷たさの方が、深く心に刻まれていた。


……その感覚は、今でも消えていない。




この冷たい手と


涙が止まらない、遠くを見るような瞳が


父が生きていた頃の母に戻るまで


俺はなんでもすると、心に誓った。


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