
隠れて甘いkissをして
第52章 回想
「………あんた、本当に大丈夫かよ?
咲原の容体は聞いてないんだろ?」
車を走らせて10分ほど経っても、小さな震えが止まらない俺を見て、立花が運転席から話しかける。
「………悪い、気にしないでいい。
とにかく頼む、そのまま運転に気をつけてくれ」
「あぁ、任せろ。
こんな高級車ぶつけたりできねーし、慎重に行くよ。
……咲原は、絶対に大丈夫だ」
………この男が、今ここにいてくれて助かった。
気を落ち着かせる為にタバコを取り出そうとしても、焦点まで合わなくなってきている。
脳裏に
あの頃の光景が、鮮明に蘇ってきていた。
