
隠れて甘いkissをして
第51章 対決
BARを飛び出して、表の通りに出る。
駅の方向を見ると、数十メートル先に彼女の後ろ姿が見えた。
この距離なら、まだいける!
私は夢中で彼女の後を追いかけた。
こんなに全速力で走ったのは久しぶりで、息があがる。
それでも、私は彼女に追いつき、右手を掴んだ。
その手には、ボイスレコーダーが握られている。
「………っ
ボイスレコーダー渡して」
「……痛い。 手離してよ」
私を睨みながら振り払おうとする彼女の腕を、より強く握りしめた。
……絶対に行かせない……!
「隼人の過去は……他人が面白おかしく取り上げる話なんかじゃない。
あなたは、何も知らないのよ。
知らないし、分かってほしくもない。
隼人を傷つける人は、私が許さないわ」
「おめでたい人ね。
自分の事ばっかり。
麻里奈だって、あなたに傷つけられたし、大事な人を奪われたわ」
