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いつまでも、何年経っても切なくて

第20章 悲しい嘘のはじまり

『ちょっとぉ、何してんのよ!』


「俺は焼きたてが好きなんだよ」


『だからってこれから持って行こうとしている物に普通手をつける?』


私は呆れながらケーキをカットしていた


そんな私の手元をじーっと見つめる響


.........

............


『そんなに食べたいの?』


縦にブンブン音が聞こえそうな勢いで首を振られ

私はそんな響が可愛く見えて
ほんのちょこっとだけ今食べる用に切り分けてあげた


響は食べ終えて私が淹れた紅茶を飲みながら
「幸せだな」と言った


私は奥の寝室でお化粧を直しながらそれを聞いていた


「なぁ、莉子ぉ」そう居間から呼ばれて
『なぁに?』と髪を整えながら返事をした


響はそのままの距離で
「莉子は今幸せか?」と聞いてきた


私の手が一瞬止まった


どうしてそんなこと聞くのだろう

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