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華のしずく~あなた色に染められて~

第22章 【夕桜~華のしずく~】其の壱~飛花~

 これは只事ではないと長年の荒波をかいくぐり鍛え上げられた勘が告げていた。急ぎ寝所の次の間で宿直(とのい)をしている家臣の砂山時治(さやまときはる)に声高に誰何した。
「騒がしいッ、一体、何事じゃ!?」
 しかし、応(いら)えはない。秀吉が続いて呼ぼうとするのと、時治の切迫した声が返ってきたのはほぼ同時のことであった。

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