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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

 と、信成が愕いたように珠々を見た。
「そなた、泣いておるのか?」
 いつしか、自分でも気づかぬ中に珠々は泣いていた。信成があまりにも哀れだと思ったのだ。父とも信じていた叔父に裏切られ、叔父を死なせてしまわざるを得なかった。その苦境が痛いほど、切ないほど珠々の胸に伝わってきた。
「それでも、殿、叔父上様は、多分、最後の最後、いまわの際は、紛れもなく殿の叔父上様でいらせられたのだと存じます」

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